【健さん、健さん、健さん】
「死んでもらいます。」
我慢に我慢を重ねた上で一人殴り込みをかける
眼光鋭いそのお姿。背中の唐獅子牡丹の赤色は
深い。雪の舞い散る夜、番傘片手に着流し、雪
駄・・・まさに浮世絵の世界だ。
うすら覚えだけど子供心に「カッコいい!」と
記憶にあるのは映画館、いや田舎の祭りで賑わ
う神社の境内での映写会だったか・・健さんの
ヤクザ映を皆で見たなぁ。
映写会が終わると年上のあんちゃん達が皆、健
さんになりきって、格好つけて歩いた。
ヤクザ映画を公共の場で見せていたなて・・・
のんびりとした、昭和だ、いい時代だったんだ
なぁ、と今思う。
ヤクザ映画が下火になると「君よ憤怒の河を渡
れ」、「幸せの黄色リボン」、「南極物語」、
「ぽっぽや、鉄道員」、「あなたへ」・・・寡
黙で不器用な男を演じた健さん。
ではアンディ・ガルシアと英語で歌うシーンが
印象に残る健さん。
一切のプライベートは見せず、ダンディイズムを
貫き、俳優として生き抜いた生き方は、他に類を
みない。そして誰よりも気遣いの人であったと聞
く。
まさに「行く道を精進して、忍びて終わり悔いな
し」を演じきった人。なんてカッコいいんだろう。
健さんといえば、高倉健。
昭和のカッコいい炎が、また消えた。
合掌。